有限責任事業組合(LLP)とは・・・

LLP(Limited Liability Partnership)

 

正式名称は、有限責任事業組合といいますが、一般的にLLPと呼ばれています。

20058月施行の「有限責任事業組合契約に関する法律」に伴い、設立できるようになったものです。

またLLPは正式名称のとおり法人ではなく組合ですが、ただの組合ではありません。

法人と組合の良いところを併せ持った新しい組織形態です。

 

ただし、半永久的に存続することを目的としていないので、一般的には存続期間を決めなければなりません。

ですが、契約延長に関する定めを組合契約書に入れておくことで長期間存続させることもできます。

  

"LLPをつくる前に、LLPの特徴や設立要件、自分のビジネスに向いているのかをしっかり判断し、途中段階でつまずかないようにしましょう。"

  

LLPのメリットとデメリット

LLPのメリット

@有限責任

出資している額についてのみ責任を負う、という原理を「有限責任」といいます。

仮に50万円の出資でつくったLLPが債務超過で倒産することになっても、原則として出資した50万円が返ってこないだけで、それ以上の責任を負わなくて良い、ということです。

 

A内部自治の柔軟性

原則として、総組合員の同意があれば社内の役割分担について自由な運営が可能です。

また重要な方針決定や利益分配などについても、出資額に左右されずに発言したり、利益を分配することができます。

 

B構成員課税(パス・スルー課税)

LLP自体には課税されず、直接組合員に課税されます。

また損失を計上した場合でも、LLP内部で決めた損益分配割合を用いて分配が可能です。

ただし損失は、出資額までしか認められません。

 

C設立のしやすさ

設立時に最低2名の組合員が必要となり、さらにそれぞれ1円以上出資しなければいけません。

つまり組合員2名、資本金2円でスタートすることができるのです。

さらに手続も簡単で少ない資料でよく、資本金以外の手数料が安いのも利点です。

  

LLPのデメリット

@法人格がない

先述したとおり、組合なので法人格はありません。

制度もまだ新しいため、LLPを知らない人が多い、ゆえに信用度が低い。

 

A許認可取得の主体にはなれない

建設業や不動産業といった許認可事業の許可や免許をLLPという組織で取得することはできません。

ただ組合員個人が許認可を取得していれば、その事業をすることは可能です。

 

B共同事業性

組合員に対して出資だけで事業に加わらないことは認めていません。

つまり組合員全員が業務の執行に責任をもち、事業を共同しなければならないのです。

 

C組織変更できない

株式会社に組織変更することはできません。

将来的にビジネスを大きくしていずれは株式会社に、と考えているのであれば、LLPは不向きです。

LLPに適した仕事とは・・・

すでに存在する2つの会社が共同でビジネスを行う場合に向いています。

法人を設立した場合課税対象となってしまうが、LLPでは先述したとおりパス・スルー課税なので、収益すべてを分配することが可能となります。

たとえば、企業と大学が共同で開発研究する産学連携の場合。

企業が研究開発費を大学側に提供し、大学はその資金をもとに新たな技術を開発、企業はそれを特許登録し独占的に使用する、相互にメリットがある体制を整えるのに向いています。

 

LLP設立の流れ

1.基本事項を決める

組合員の選定、LLPの名称、事業目的、本店所在地、出資額など

 

2.各種書類作成

組合契約書、登記申請書、就任承諾書、印鑑証明書など

 

3.出資金の支払い

出資金を振り込み、通帳のコピーにより払込証明書を作成。

 

4.法務局へ提出

本店所在地を管轄する法務局へ書類を提出。

4日〜1週間程度で、手続は完了。

 

 

パススルー課税について

【パススルー課税】 

株式会社では、利益が出た場合、会社に対して法人税が課税され、さらに、配当を受け取った出資者にも課税されるので、結果として税金が二重に課税されることになります。
・それに対して、LLPでは、利益が出た場合、LLPには課税されずLLPの組合員に対して直接課税されます。
・また、赤字の場合でも、その損失額を、組合員の他の所得から控除することが可能です。(控除額は出資額が限度)

連結納税制度について

【連結納税制度】

通常A社、B社、C社はそれぞれ独自の法人として納税します。

連結納税制度を採用した場合は、親会社のA社がグループ全体(A社、B社、C社)でまとめて納税します。(親会社が100%持分を保有する子会社のみ)

  • LLPではパススルー課税が採用されています。
  • パススルー課税では、連結納税制度と同様の効果を得ることができるのです。 
  • A社がB社を株式会社でなく、LLPとして保有していた場合は、A社はLLP Bの持分を100%保有していますので、その損益の100%がA社の損益に合算され、それを対象に税金の計算がされるのです。
  • さらにLLPの場合は、LLPに対する持分の比率が100%でなくともパススルー課税となります。
  • つまり、C社がLLPの場合、持分60%のLLP Cの損益も合算されるのです。

合同会社(LLC)と有限責任事業組合(LLP)の違いについて

【合同会社(LLC)と有限責任事業組合(LLP)の違い】

  • LLPは法人格がないため、法人格を有する株式会社への組織変更はできませんので新規に会社を設立する必要があります。
  • LLCは法人格があるので、株式会社への組織変更は可能です。
  • LLC(法人格有)では、法人税が課され、その後に利益配分をした時、さらに課税されます。
  • 一方、LLP(法人格無)では、法人税は課されず、利益分配した時に初めて課税されます。
  • LLCの場合、全員が業務執行にあたることが原則ですが、定款で業務執行社員を定めることで、出資のみの社員と区別できます。
  • しかし、LLPの場合、全員が業務執行にあたります。

株式会社とLLCとLLPの違いについて


株式会社 LLC LLP
形態 法人 法人 組合(×法人)
責任 有限責任 有限責任 有限責任
資本金 1円以上 1円以上 2円以上
出資者 1名以上 1名以上 2名以上
定款認証 必要 *1 不要 *2 不要
登記 必要(登録免許税15万円) 必要(登録免許税万円) 必要(登録免許税万円)
決算公告義務
配当 出資割合 自由
自由
課税 法人課税 + 所得税
(二重課税)
法人課税 + 所得税
(二重課税)
構成員課税
(パススルー課税)
組織変更 株式からLLC変更可能
株式からLLP変更不可
LLCから株式変更可能
LLCからLLP変更不可
LLPから株式・LLC変更不可
存続期間
内部ルールの決定 商法による規定 自由に規定 自由に規定
*1 認証代5万円と電子認証でない場合は、印紙代4万円
*2 電子認証でない場合は、印紙代4万円は必要
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